症状と治療 - 札幌市西区の内科・循環器科・百石内科循環器クリニック

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各症状と治療

symptoms and treatment

高血圧hypertension

脳血管障害、心臓、腎臓などの臓器障害などの原因になるのが高血圧です。
生活習慣の改善、降圧剤などにより血圧を適正範囲に維持することが重要です。
高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。

高血圧は、ほとんどの場合自覚症状はありません。しかし、血圧高値を放置すると心疾患や脳卒中、腎不全などを引き起こす原因となります。

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1.高血圧の治療の目的

高血圧の治療の基本は他の生活習慣病と同じく食事療法・運動療法です。
それらをきちんと行っていても血圧の下がり具合が十分でなければ、薬が処方されます。
具体的な内容については主治医の先生に相談した上で、ご自身の状態に合った食事療法・運動療法を行うようにします。

高血圧治療の目的は、単に血圧を正常値に下げることだけではなく、心疾患、脳卒中、腎不全など二次的疾患の発症を予防することです。
血圧を下げることで心疾患や脳卒中などで死亡する危険性は減少します。

2. 血圧の正常値について

血圧は、高すぎれば高血圧、低すぎると低血圧になりますが、正常値はどのくらいなのでしょうか。一般的に血圧は、年齢とともに高くなる傾向があります。
日本高血圧学会の治療ガイドラインでは、若年者・中年者の場合は、診察室での血圧が130/85mmHg未満、家庭で測定した血圧が125/80mmHg未満を降圧目標値としています。血圧の降圧目標値は、年齢や糖尿病の有無、腎臓病の有無などによって異なった目標値が設定されています。
正常範囲の中でも、脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性が特に低く、理想的とされるのは至適血圧です。正常高値血圧は、ぎりぎり正常範囲に入っているものの、血圧が高めで高血圧予備軍ともいえる状態なので、血圧を測ってみて正常高値血圧だった人は、血圧を下げられるように、日々の生活習慣を見直すようにしましょう。

3. 血圧が高値になってしまったら

- 塩分は取りすぎていませんか?

塩分の取りすぎは血圧上昇の原因の一つになります。現在、日本人の平均塩分摂取量は1日12gですが、1日6gを目標にしましょう。

- 運動はしていますか?

ウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動を習慣的に行うことで、高血圧の改善が期待できます。激しい運動は避けてください。
運動量の目安は、ウォーキング1万歩/日(約1時間)、水泳 30分/日、サイクリング 1時間/日を1週間に3日以上行いましょう。

- ストレスはありませんか?

ストレスは血圧上昇に関係します。睡眠を十分にとり、休日は余暇を楽しむなどストレス解消を心がけてください。

4. 高血圧の治療について

健康診断や家庭で測定した血圧が高値だった場合、まずは循環器内科を受診して相談して下さい。
血圧の治療薬にはアンジオテンシンII受容体拮抗薬やカルシウム拮抗剤など多種類の薬剤があります。

年齢や糖尿病、腎疾患、心疾患の有無などを考慮して適切な薬剤を選択して治療します。

糖尿病diabetes

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用や分泌が低下することにより血液中の血糖値が高くなる病気です。遺伝的な要因と過食・運動不足などの生活習慣が糖尿病の原因となります。両親や兄弟に糖尿病の方がいる場合には、定期的に血液検査を受けられることをお勧めします。
血糖値が高いと、のどの渇きを自覚することがありますが、自覚症状がないまま経過することも少なくありません。自覚症状がないため治療せずに放置する方もいますが、長期間の高血糖状態は狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病性網膜症による視力障害、糖尿病性腎症による腎不全、閉塞性動脈硬化症による下肢の虚血などを引き起こす原因となります。

1. 血糖値を下げるには

過食、お酒の飲み過ぎ、甘いものや脂っこいものを好んで食べる、食事時間が不規則、野菜を食べることが少ない、運動不足、肥満などは、糖尿病発症の危険因子になります。まずは食事内容を見直すことが大切です。
また、血糖値を下げるためには脂肪を減らし筋肉をつけることが重要です。
筋肉は、基礎代謝を増やし、血糖をエネルギーとして利用することにより血糖値を下げます。1日1万歩を目標に歩くようにしましょう。食後に運動を行うと、食後の高血糖を改善することができ、より効果的です。

2. 糖尿病の治療について

糖尿病の治療は、重症度によって異なります。軽症の方は、まず食事療法・運動療法を行います。
食事・運動療法にても血糖値が高い場合には内服治療、インスリン治療などを行います。糖尿病の内服治療薬、インスリン製剤には様々な種類のものがあります。体型やインスリンがどの程度分泌されているか、食後高血糖の有無などを考慮して治療薬の選択を行います。

脂質異常症dyslipidemia

脂質異常症の中には、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症があります。以前は、総コレステロールの数値が220㎎/dl以上の場合に高コレステロール血症と言われていました。
しかし、現在では、動脈硬化を進める(狭心症や心筋梗塞発症の危険性を高める) LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が、140mg/dl以上の場合、高LDLコレステロール血症といわれ重要視されています。
一方で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は40㎎/dl未満になると動脈硬化のリスクが高くなります。また、中性脂肪が空腹時採血で150mg/dl以上の場合を高トリグリセリド血症と言います。高トリグリセリド血症も動脈硬化との関連が示唆されています。

1. 脂質異常症と判断されたら

まずは、食事・運動療法が必要です。飲酒、甘いものの取り過ぎ、肥満は、中性脂肪を増加させます。また、鶏卵や魚卵、レバー、マヨネーズ、動物性脂肪などはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させます。
アルコールや甘いもの、動物性脂肪などを控えめにすることが大切です。喫煙はHDLコレステロール(善玉コレステロール)を低下させるので禁煙が必要です。運動はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪を減少させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる効果があるため1日1万歩を目標に歩くようにしましょう。

2. 薬による治療について

高LDLコレステロール血症の場合、食事や運動不足が関与している以外に遺伝的要因が関与している場合があります。
食事・運動療法を行っても改善が無い場合には内服治療を必要とします。現在は、スタチン系と言われる肝臓でのコレステロール合成を抑えてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させる薬が第一選択として使用されています。
また、最近ではエゼチミブという小腸からのコレステロールの吸収を抑えてコレステロールを低下させる薬剤も使用されています。中性脂肪が高い場合は、フィブラート系、イコサペント酸エチルなどの薬剤を使用します。

狭心症angina pectoris

体の臓器(心臓、腎臓、肝臓、脳など)は、栄養と酸素をもらい正常に機能するためにそれぞれ重要な動脈をもっています。
心臓には冠動脈と言われる動脈があり、この動脈から栄養と酸素を心臓の細胞が受け取ることで全身に血液を送り出すポンプとして働くことができます。
この冠動脈が動脈硬化や血管の痙攣で狭くなり、心臓への血液の流れが低下する病態が狭心症です。冠動脈の動脈硬化を進める因子としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などがあります。

1. 狭心症の症状について

左胸や前胸部、みぞおちの締め付けられるような痛み、圧迫感、重しを載せられたような痛みがあります。
また、放散痛といって、歯茎の痛みや肩甲骨部の痛みを感じることもあります。特に重い荷物を持って坂道や階段を上ったとき、雪かきをしたときなど体を動かしたときに1~5分程度の痛みがあり、安静により消失する場合には動脈硬化性の狭心症が疑われます。
就寝中の夜中から明け方にかけて数分から30分程度持続する胸痛が出現する場合は、血管が痙攣するために血液の流れが低下する冠攣縮性狭心症が疑われます。

2. 狭心症の検査

狭心症の場合は、心電図に異常が認められる場合と認められない場合があります。
心電図に異常がないからといって、狭心症は否定できません。症状で狭心症が疑われた場合には、心臓超音波検査、運動負荷試験、心臓核医学検査、冠動脈CT、心臓カテーテル検査などを行い診断します。

不整脈arrhythmia

不整脈には、脈が速くなるもの、遅くなるもの、脈が不整なものなどがあります。
自覚症状は不整脈の種類により異なりますが、動悸、めまい、立ちくらみ、失神、息切れ、胸部違和感などがあります。
不整脈が起こる原因として、心臓自体に原因があるものと、甲状腺機能亢進症や電解質異常など全身疾患に起因するものなどがあります。
狭心症・心筋梗塞・心筋症・心臓弁膜症など心臓の病気が原因となっている場合もあります。

1. 不整脈の種類

不整脈は、①脈が速くなる頻脈性不整脈、②脈が遅くなる徐脈性不整脈、③脈拍数に異常のない不整脈に分類されます。
脈拍数が1分間に100以上の場合を頻脈、60未満の場合を徐脈といいます。
上室性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動・粗動、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動、房室ブロック、洞不全症候群など様々な種類の不整脈があり、不整脈の種類により治療方針も異なります。

2. 不整脈の検査

自覚症状や脈拍の異常から不整脈が疑われた場合には、心電図検査を行います。これは、不整脈とは、普段から症状や心電図変化が出ているとは限らず、発作が起こっている際の変化を記録することが重要となるためです。
また、不整脈の種類によっては、発作時にしか心電図で異常を見つけられない場合があります。その様な場合には、24時間の心電図を記録するホルター心電図を使用して不整脈の有無を調べます。

3. 不整脈の治療について

その原因となる疾患、その他の病気やその治療による身体への影響など、様々な問題が考慮されます。不整脈の中には、治療を必要するものと必要としないものがあります。治療を必要とする場合には、抗不整脈薬の内服、徐脈性のものにはペースメーカ植え込み術を行う場合があります。
また、上室性頻拍、心房細動、心室頻拍といった不整脈に対しては心臓の中にカテーテルという電極を入れ、不整脈の発生部位を焼き切るカテーテルアブレーションという治療が行われることもあります。